全プロスポーツ選手が引退後に活躍できる国〜聖なる夜の贈り物〜

※これはフィクションです。

 

12月。

 

街はクリスマスカラー一色。

そんな街なかを、とぼとぼと背の高い女が一人で歩いていた。

 

彼女は力を持て余していた。

昔は、県大会で優勝し、インターハイに出場した。

地元では負け知らずだった。

その甲斐あって、卒業後はプロになった。

 

しかし数年後、スポンサー会社の経営状況は悪くなり、チームは解散。

あえなくリストラ。

 

田舎にに帰った彼女は、実家でぼーっと何をするでもなく、ダラダラと毎日を過ごしていた。

 

(店でもやろうかな。いや先輩が大失敗したしな。でも、このままじゃいけないよな・・・)

 

毎日そう思う。

そして、また同じ日々を送る。

彼女のあの頃の肉体と精神の輝きは、だんだんと光を失っていった。

 

〜〜 そんな人が、その国にはゴマンといた 〜〜

〜〜 酒やクスリに溺れる者。毎日叱られながら働く者 〜〜

〜〜 誰もスポーツ選手を目指す人はいなくなった 〜〜

〜〜 しかし奇跡は起きた 〜〜

〜〜 その年の12月に起きた大統領交代 〜〜

〜〜 新たな政策が実施された 〜〜

 

「一部公務員のスポーツ選手特別登用制度」

 

登用先は国防軍、消防レスキュー、警察など、体を使う職務。

対象は、元プロスポーツ選手。

 

その成果は歴然だった。

体育会系の縦社会で育った彼らの統率。礼儀。

厳しいトレーニングを難なくこなす体力。

彼らは、犯人を自慢の俊足で追いかけた。

彼らは、誰よりも早く、溺れる少女を抱きかかえた。

彼らは、疲れ知らずで災害復興に尽力した。

彼らは改めて国のために働き、安定した生活を手に入れた。

 

12月。

街は、引き締まったスタイルのいいカップルで溢れかえっていた。

一人でうつむいてる女はもういない。

街にはクリスマスソングが流れる。

 

♪♪

まっかなお鼻のトナカイさんは

いつもみんなのわらいもの

 

でもその年のクリスマスの日

サンタのおじさんは言いました

 

暗い夜道はピカピカの

お前の鼻が役に立つのさ

 

いつも泣いてたトナカイさんは

こよいこそはと喜びました

(「赤鼻のトナカイ」作詞:新田宣夫)

♪♪

 

サンタは確かに存在します。

 

※これはフィクションです。

 

豊嶋航平

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