犯罪者のいない国〜償いと補い〜

※これはフィクションです。

 

その国には、犯罪者がいない。

いや犯罪が極端に少ない。

そしてそれどころか、国民の長寿と健康は世界トップを誇る。

IMGP0478

政府は犯罪に対する刑罰を改めた。

それまでの刑罰は、懲役や死刑というものだった。

たくさんの税金を投入して、犯罪者を隔離した。

しかしそれは逆に言えば、国で犯罪者の生活を保証するということだった。

懲役を終えた犯罪者に、外での居場所はなく。

出所後は、また犯罪を犯し、刑務所に戻ってくるというのが関の山だった。

 

新たな刑罰。

それは、犯罪者を医療の人体実験に回すというものだった。

凶悪な犯罪者ほど、その貢献度合は高く設定された。

軽いものから投薬。新しい治療法の開発。部位提供。臓器提供。

犯罪者の命は、医療のために使われた。

誰も反対はしなかった。真に償うというのはそういうことだった。

親は子供に、犯罪を犯すとどうなるのかを教えた。

犯罪者はみるみる少なくなっていった。

その結果、医療は飛躍的に発展し、国民は長寿と健康を得た。

国は先進医療を国外へ輸出し、莫大な富を得た。

 

余った刑務所は、障害者のための入居施設となった。

国が補てんしたのは、障害者を持つ家族たちだった。

国の保証で、3食付きで仕事まであてがわれる。

中には特別な芸術の才能に目覚めるものもいた。

もちろん面会自由。出所も自由。

家族の苦労が軽減された。

その結果、介護ノイローゼによる痛ましい事件もなくなった。

今まで介護に回されていた時間は労働力となった。国力が上がった。

 

国民は国に、心から感謝した。国を愛した。

そして何よりも愛されたのは、正しい償い方と補い方を考え、

勇気を持ってそれを英断した国の首領だった。

犯罪者と障害者を子に持つ、その国の首領だった。

 

※これはフィクションです。

 

豊嶋浩平

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です